新生児集中治療室(NICU)看護師が勉強すべき事とおすすめの本!


実際に私自身がNICUで1年目の時、どうやって勉強したらいいかわからず、試行錯誤していた記憶があります。

新生児集中治療室とは
新生児集中治療室(以後NICU)とは、出生直後の赤ちゃんが入院する救急病棟です。低出生体重児や呼吸障害、その他先天性疾患など様々な原因で入院をします。

では、NICUに配属されたら何を勉強したらよいのでしょうか?勉強内容と勉強をする上でのポイントについてお話していこうと思います。
NICU看護師の勉強内容&ポイント
NICUに配属されたら以下の項目の勉強をしましょう。
- 新生児の解剖生理
- 新生児の疾患・病態生理
- 薬剤について
- 医療機器

1.解剖生理
NICU配属直後から勉強すべきなのが解剖生理。この項目が分からないと受け持ちは出来ないので、受け持ちが始まる前にしっかりと理解しておきましょう。勉強する時は漠然と調べるのではなく、以下のポイントを抑えるとより新生児への理解が深まります。
お腹にいる胎児・出生直後の新生児・出生から数日経過した新生児では、生活環境が違う事で身体の循環動態も大きく変わってきます。また、出生する週数によっても身体に備わる機能が異なってくるため、細かい変化について勉強していく必要があります。


解剖生理で一番引っかかるのが「心臓」。新生児の心臓→全身への血液の流れは、大人と全く違うのでイメージがしにくい人もいると思います。そんな時は、実際に新生児の心臓の絵を描いてみるといいですよ。そうすることで、血液の通り道がどこにあるのか理解しやすくなるので、おすすめです。

2.疾患・病態生理
NICUに入院してくる新生児は、様々な要因・疾患で入院してきます。大人の場合、個々の生活習慣・基礎疾患・体質などが原因で発症する人が多いですが、新生児の場合先天性の疾患や出生時の循環・呼吸状態によって発症します。そのため、勉強をする上で重要なポイントがこちらです。
解剖生理のところで「解剖生理の大切さ」をお話しましたが、勉強した解剖生理は疾患を理解する上で重要な情報となります。その疾患になるには、何らかの理由・原因があるので、疑問を持ちながら知識を深めていく事が大事です。



3.薬剤について
NICUの病棟に置いてある薬剤は「良く使うもの」と「あまり使わなもの」が置いてあり、端から調べると時間がかかってしまいますし、効率も悪いです。そのため、初めて勉強する時は、まず受け持ちの患者が使用している薬から順番に調べていくと良いですよ。勉強する時は以下の内容を意識して調べてみましょう。
NICUの薬は投与量によって作用が異なる物もあるので、同じ薬でも使用目的が違う事もあります。「なぜその薬を使っているのか」を考え、使用目的を理解してから、その薬の詳細を勉強しましょう。
また時間がある時でいいので、受け持ち患者が内服している薬の用量について自分で計算してみると、今後医師に処方をオーダーをお願いする立場になった時に役立ちますよ。

4.医療機器
NICUは集中治療室なので、特殊な医療機械が沢山使われています。こちらも、まずは自分の受け持ち患者が使用している機器を調べましょう。
医療機器は、患者の症状を軽減させたり改善させるために使われるため、使用する根拠を考えるのが大事。また、医療機器はあくまでも人工物なので、使用する事で合併症を引き起こす事もあります。


NICU看護師におすすめの本
勉強内容・ポイントが分かったところで、次に筆者が実際に使ってみて勉強に役立った本を紹介致します。
【必須】NICUの薬剤についての本
NICU看護師は必ず持ち歩くべき本新生児室・NICUで使う薬剤ノート。NICUで使用する全ての薬剤が網羅(もうら)されている1冊です。
成人看護では薬剤を処方する時「大まかな体重」で処方する事もあるのですが、NICUの場合少しの量の違いが赤ちゃんの命に関わるので、細かな計算が必要です。どのNICUでも、看護師は医師が処方した薬の用量をみて「その赤ちゃんに合っている量なのか」確認した上で投与を行います。
この体重当たりの計算が薬によって異なるので、いちいち調べるのは本当に大変。そんな時に役立つのがこの本です。体重当たりの用量も書かれているので、本の内容をもとに計算を進めていけばOKです。


基礎が分かる本
基礎中の基礎を勉強するなら新生児の症状・初見マスターブックがおすすめです。
具体的な本の内容はこのようになっています。
「新生児の分類」から「出生後の観察ポイント」。NICUに入院してくる疾患の概要についても書いてあります。NICU配属後に何から勉強していいか分からない方は、この本の内容に沿って順番に勉強していくといいと思います。

超低出生体重児を勉強する本①
超低出生体重児を受け持つようになったら、おすすめなのがメジカルビュー社の超低出生体重児新しい管理指針です。
超低出生体重児は、早産児・未熟児の中でも病態生理が難しいのが特徴です。管理方法も未熟具合によって異なってくるので、超低出生体重児について詳しく知るには、ぴったりの本となります。

超低出生体重児を勉強する本②
引用:メジカルビュー社 小児科
超低出生体重児管理指針と同様の、メジカルビュー社から出されているのが超低出生体重児の管理マニュアル。
超低出生体重児管理指針よりも3年後に発刊されており、管理マニュアルとしては最新の内容となります。対応の仕方について絵や写真も載っていて、初めての方でもイメージしやすいよう工夫されています。


さいごに
小さな命と向き合うNICU看護師。特殊な部署なので、大変な事も沢山あると思いますが、新しい命との関わりは、自分にとってかけがえのない経験となります。最初の1年は特に辛いと思いますが、そこを頑張ればまた違った看護観が広がるはずです。

