GCU(新生児回復室)って何?職場環境・看護師の役割を解説!



記事を読むメリット
- GCUの立ち位置を知る事ができる。
- GCUの職場環境を知る事ができる。
- GCUの看護師の役割を理解できる。
GCUって何?
いきなりですが問題です!
前回NICUについても詳しくお話をしましたが・・・NICUがどんな部署だったか覚えていますか?


一方、今回テーマに挙げているGCUは新生児回復室の事を言います。NICUと異なり状態が落ち着いた赤ちゃんが入院する慢性期病棟です。NICUとGCUは別々で看護師が配属されていますが、必ず1セットとして病院内に設置されています。


NICUとGCUの関係性
NICUとGCUはこのような関係性にあります。
NICUで入院した赤ちゃんは、状態が安定したらGCUへ転棟。その後、更に問題がない事を確認してから退院します。


GCU看護師の役割
GCU看護師には3つの役割があります。
- 赤ちゃんの状態変化の有無を観察(NICUと同様)
- 両親への育児指導(内服など手技獲得)
- 両親の心のケア

NICUは急性期病棟なので一番は赤ちゃんの状態安定が最優先となります。もちろん、治療の合間で両親への育児指導も行いますが、その目的は「不安軽減」や「愛着形成」がメインとなります。
GCUは状態が安定し退院を目標とした赤ちゃんが入院しています。そのため、GCU転棟後の指導は「退院に向けた育児手技の獲得」が目的となります。


GCU看護師の仕事内容
全体的な業務内容としては、NICUよりも処置が少なくなり、赤ちゃんのケアもシンプルとなります。しかし、慢性期だからこその大変さがいーっぱいあります。
大変①沐浴
NICUでは1人の看護師につき3人受け持ちなのですが、GCUでは最大6人又はそれ以上の赤ちゃんを受け持ちます。そのため、朝は沐浴槽の争奪戦が始まります。

大変②ミルク
そして、受け持ちの人数が多いと大変な事がもう1つあります。それがミルクです。赤ちゃんはNICU入院時より3時間おきにミルクを飲むのですが、GCUに転棟後もその指示は変わらず続きます。
更に状態が安定している分、
- 1人の赤ちゃんが飲むミルクの量が一気に増える
- ミルクの量が増えるとその分完食するのに時間がかかる
結果、全員ミルクをあげ終えるまでに計3時間かかり、気づけば最初の子のミルクの時間に。この大変さはNICU看護師だと味わう事ができません。

大変③育児指導
その日のうちに何家族かの指導を同時に行うため、タイムスケジュールを事前に組んで動く必要があります。また、育児指導は指導をする側の知識量によって内容の濃さが異なってくるので、GCU配属時にはしっかりと知識を深めてから業務に臨む必要があります。

重点的に知識として持っていて欲しいのは、やはり母乳・授乳に関する知識です。NICUで赤ちゃんが長期入院をしていると、赤ちゃん自身もおっぱいを上手に吸うまでに時間がかかりますし、母親も手順やコツが分からないので、GCU看護師のサポートが必須となります。
どんな質問でも答える事が出来るように準備をしておく事が重要です。

GCU看護師のやりがい
自分の指導が家族の未来に繋がる
退院の目安として赤ちゃんの状態安定はもちろんですが、両親の育児手技の獲得も1つの目安となります。特に退院後も医療処置が必要な赤ちゃんの場合、両親面会時にGCU看護師が念入りに指導をしていきます。
一般の人で医療処置を行う機会はほぼないため、両親も初めは手間取ってしまう事もあるかと思いますが、回数を重ねるうちに看護師がサポートをしなくてもスムーズに行う事が出来るようになります。
出来るようになると、その喜びも一緒に共有できますし、退院時に直接感謝の気持ちを伝えて下さる方も多くいらっしゃいます。

直接退院まで関わる事ができる
NICU看護師の場合、状態が安定するとGCUに赤ちゃんが転棟してしまうため、その後の赤ちゃんの経過について知る事ができません。(行き来できる環境であれば顔を見る事は出来ますが。)
しかしGCU看護師の場合、赤ちゃん・両親をギリギリまでサポートし、直接退院を見送る事ができます。成長した赤ちゃんと両親を送り出すひと瞬間はいつも感動ものです。

GCU看護師は素敵な仕事
GCU看護師はNICU看護師と比較して、医療機器を触る機会や処置を行う機会が少ない部分があります。そのため、GCUへの配属が決まると「NICU看護師と比べて知識・技術がない」と将来に対し不安に感じたり、落ち込む看護師もいます。
しかし実際働いてみると、GCU看護師には出来て、NICU看護師には出来ない事も沢山あります。
受け持ち人数が多いため、細かなタイムスケジュールを立てられるようになりますし、同時に管理・観察する能力も身に付きます。これはNICU看護師には出来ない事です。
この知識・技術・能力は、今後の看護師人生だけでなく自分の将来でも大きく役立ちます。

