NICU看護師に知ってほしい!不安を抱える家族との関わり方!

こんにちわ、りすです。今回は新生児集中治療室(以後NICU)の看護師に向けて、「不安を抱える家族との関わり方」についてお話していこうと思います。

記事を読むメリット
この記事を読むメリットがこちらです。
- NICU看護師の役割を理解できます。
- 家族(両親)の心理状態を知る事ができます。
- 家族(両親)への関わり方・声かけの仕方を学べます。

NICU看護師の役割
NICU看護師には5つの役割があります。
- 赤ちゃんの異常早期発見・報告・対応
- 赤ちゃんが後遺症なく成長できる環境づくり
- 赤ちゃんの身の回りのケア
- 母親・父親への育児指導
- 母親・父親のメンタルフォロー
NICUへの入院は患者本人だけでなく、母親・父親にとっても長く辛い戦いとなります。そのため、赤ちゃんと同じくらい、両親のケアが重要です。

NICUの家族の心理状態
「母親が感じる事」と「母親&父親が感じる事」の2つに分け詳しく説明していきますね。
1.NICUに入院させてしまった罪悪感
- 元気に生んであげられなくてごめんね
- 私が生まなかったらNICUに入院する事もなかったのに
- もう少し違う生活の仕方をしていたら大丈夫だったのかな
- こんなに辛い思いをさせて悪い母親だな
赤ちゃんは生まれるまでずっと母親のお腹の中にいたので、母親は「赤ちゃんに異常がある=母親(母体)のせい」と自分自身を責め、強い罪悪感を感じてしまいます。


2.直接母乳をあげられない悲しさ
通常の経過であれば、出生数時間後に抱っこをして母乳をあげることができます。しかし、NICUに入院すると赤ちゃんは保育器管理になるので、直接母乳が実現するまで長い時間が必要です。
あげられるまでの期間としては、状態が良い子で1週間前後、長期入院だと1カ月先の事も。
また、母乳は赤ちゃんによる吸啜(きゅうてつ)又は搾乳をしないと数日で止まってしまいます。
そのため、もし飲んでもらうまでに数週間~1カ月かかる場合、母親は母乳の維持のため毎日・数時間おきに搾乳をしていかなくてはいけません。


3.子どもの命に対する不安
NICUへの入院は、赤ちゃんだけでなく両親にとっても初めての経験です。「もしかしたら目の前からわが子がいなくなってしまうかもしれない」「何かあったらどうしよう」という強い不安を感じ過ごす事になります。

4.直接触れ合えない・毎日会えない悲しさ
家に帰ってわが子がいない悲しさ、保育器に入っていて抱きしめてあげられない切なさ。これは両親ともに感じる事です。
NICUのような急性期病棟でも毎日面会可能ですが、病院によっては時間制限や人数制限があるところもあります。

5.退院後の育児に対する不安
長期の入院だと退院まで1カ月~2か月以上かかる事もあります。
1カ月赤ちゃんがいない生活をしているので、赤ちゃんが自宅でどのように過ごすのかイメージが出来ない。また、赤ちゃんの中には疾患を持って生まれてくる子もいるので、通常よりも育児のハードルが上がります。
そのため、両親は「退院が出来る嬉しさ」だけでなく「いつ・何が家で起こるか分からない恐怖」も感じ複雑な気持ちでいます。
6.子どもの将来に対する不安
子どもの発達の問題も両親の頭を悩ませます。現時点で問題なくても、大きくなるにつれ成長が遅かったり、周りの子と何か違いが出てくる可能性もあります。
「もし何か異変を感じたらどうしたらいいのか」「この子はどのような成長・発達の経過をたどるのか」退院前にしっかり話しをしていく必要があります。
不安を抱える家族への声かけ・関わり方
①母親の辛さを一緒に共有する
出生直後一番辛い思いをしているのは産んだ母親です。もし母親が自分自身を責めているようであれば「赤ちゃんが入院したのはお母さんのせいではない」と伝え、寄り添う事が重要です。

もちろん、不安でそれどころではないと思いますが、退院後万全な状態で育児をしてもらうためにも、ゆっくり休むよう伝えてあげましょう。
②日々の変化を細かく伝える
毎日面会をしていても、赤ちゃんの成長を感じられないと「あれ、状態がよくないのかな」と不安に思いますよね。
赤ちゃんの身体は未熟なため、治療も数ml単位での変更となります。そのため、状態が安定するまでは、急激な体重増加など見た目の変化はありません。
そのため、両親に赤ちゃんの成長を感じてもらうためにも、面会時に「変化した点(成長を感じられる点)」を細かく伝えてあげる事が重要です。
「何ml」「何g」と具体的な数字を伝えるのがポイント。前日の量も交えると分かりやすいです。
昨日よりも今日、今日よりも明日。少しでも変化を感じられれば、「赤ちゃんも頑張ってるんだ」と両親も安心されるはずです。

③1日の生活リズムを教えてあげると◎
・何時間おきにミルクをあげているのか
・夜はどれくらい起きているor寝ているのか
面会は基本的に日中なので、夜の様子も伝えてあげると、より退院後の具体的なイメージをする事が出来ます。

④ケアを一緒にやってもらう
赤ちゃんの状態がよければ、看護師が見守りつつ出来るケアは全部やってもらいましょう。


⑤不安がないか適宜確認する
自分から今の気持ちを話せない両親もいます。そのため、面会時は赤ちゃんの状態を伝えつつ、治療面や赤ちゃんの状態で不明点・不安点がないか適宜確認する事が重要です。
もし看護師で答えられない質問があれば、医師からの病態説明時に話が出来るようセッティングしていきましょう。

⑥「分からない事」をリスト化してもらう
主治医は入院直後・状態変化時・退院時に必ず両親へ病態説明(IC)を行います。そのため、退院後の疑問点を解消するなら、退院前ICが最後のチャンス。
「病状説明の時、これ聞いておけば良かった!」という事がないように「不明点・不安点」をリスト化してICに臨んでもらいましょう。
特に両親に聞いてほしいのが、退院後の赤ちゃんの経過。NICUに入院した赤ちゃんは、生まれた週数によって普通の子より成長が遅くなる事があります。
病態や成長などの詳細は、担当した主治医に答えてもらうのが◎。事前に両親にその点も含め聞くように伝えておけば、IC時の聞き忘れを防ぐ事ができます。

退院後も素敵な日々を過ごせるように
赤ちゃんと両親が笑顔で退院できるようにサポートするのが、NICU看護師です。両親の辛さを完璧に理解してあげる事は出来ませんが、理解しようと努力する事は可能です。
「退院が楽しみ!」そう思ってもらえるように、NICU看護師だからこそできる事を全力でやっていきましょう。
