【NICU看護師】1日のスケジュールと適切な優先順位のつけ方!

今回はNICU1年目のみなさんへ。NICUの仕事を具体的にイメージするために、実際にりすが働いていた日勤・夜勤のスケジュールを大公開いたします。

記事を読むメリット
- NICUの1日のスケジュールを理解する事ができる。
- 赤ちゃんに合わせた優先順位のつけ方を理解出来る。
- 優先順位の根拠を理解する事ができる。
1日のスケジュール
NICUの特徴
私たち成人は身体機能が十分に備わっていおり、何か環境変化があっても代償機能でカバーする事が可能です。一方NICUの赤ちゃんは、身体にまつわる全ての機能が未熟のため、ちょっとした環境変化の違いで体調が大きく変わります。
そのためNICUでは、点滴・ミルクなど全ての指示が細かく時間で分けられており、看護師はその指示時間をずらす事なく正確にこなす必要があります。

日勤のスケジュール
りすが働いていた病院は変則2交代だったので、日勤は08:30~17:00でした。NICUは計12床あり、受け持ち人数は日勤帯は平均2人。多くて3人でした。

時間 | 仕事内容 |
08:30~ | 申し送り |
09:00~ | 清潔ケア(清拭・沐浴)・おむつ交換 |
11:00~ | 隔日イベントを実施・午前退院の子の場合、退院前指導・沐浴指導 |
12:00 | ミルク・抗生剤点滴・持続点滴交換 |
14:00~ | 【面会時間】沐浴指導・カンガルーケアなど 午後退院の場合、退院前指導 |
15:00 | ミルク(授乳がある場合は授乳指導してから)・おむつ交換 |
16:00~ | ロング日勤への申し送り |
17:00 | 業務終了 |
そして、このスケジュールの中にプラスで以下の看護業務もあります。
私が働いていたNICUは午前・午後共にご両親の面会が可能でした。しかし、午前中は医師による点滴の指示変更やレントゲン撮影など様々なイベントが入ってきます。そのため、退院の赤ちゃん以外、指導系は午後に行っていました。


時間で決まっている点滴・ミルクは看護師判断でずらす事は出来ないので、その時間指示をずらさずに他のイベントやケアを行っていくのがすごく大変です。
夜勤のスケジュール
次に夜勤帯のスケジュールを見てみましょう。変則2交代制の夜勤は20:30~翌朝09:00までとなります。スタッフの人数は4人、1人当たりの受け持ち人数は3人でした。
時間 | 仕事内容 |
20:30~ | 申し送り |
21:00~ | 赤ちゃんノート記入 |
00:00 | INOUTバランス計算(医師に報告)・ミルク・おむつ交換・体位交換・抗生剤投与 |
03:00 | ミルク・おむつ交換・体位交換 |
06:00 |
ミルク・おむつ交換・体位交換 |
09:00 |
ミルク・おむつ交換・申し送り |


ちなみに、赤ちゃんノートとは?


ご両親が読んで元気が出るように、看護師それぞれシールや色鉛筆を使い可愛くアレンジをします。看護師によって個性が出るので、読んでいて面白いかもしれません。(絵が上手い人、下手な人とかもいるので 笑)
私たちからのメッセージだけでなく、もちろんご両親からの質問・メッセージも記載可能です。

NICUの仕事をスムーズにこなすには?
成人看護も同様、NICUの看護師も優先順位の組み立てが仕事をこなす上で重要です。
優先順位をつけると、仕事を早く終わらせる事が出来るだけでなく、赤ちゃん自身もストレスなく過ごす事が出来るというわけです。

NICUでの優先順位のつけ方
NICUの業務で優先順位をつける時は、受け持ちの赤ちゃんの状態・性格を頭に入れておく必要があります。
重症度により優先順位のつけ方が異なってくるので、今回は新人さんの参考になるようにバイタルサインが安定している赤ちゃんの優先順位の決め方をお伝えしていきます。

- ミルクで優先順位を決める
- 起きているか、寝ているかで決める
- 本日面会があるかないかで決める

ミルクで優先順位を決める
NICUでは1人の看護師につき2人~3人受け持ちがいるので、全員同時にミルクをあげるのは不可能です。
そのため、指示の1時間前から順番にミルクを与え、指示時間には全員ミルクを与え終わるようにスケジュールをたてます。

1.ミルクを飲む量・速さで決める
赤ちゃんは性格・呼吸状態・起床状態・気分などにより飲むペースが異なります。1時間で3人にミルクをあげ終わるには、3人の赤ちゃんがどれくらいの量を飲んでいるのか・どれくらいのペースで飲めるかを見極め、優先順位を立てる事がポイントです。
では、例をもとに優先順位を考えてみましょう。

Bちゃんを一番最後に回すのは大正解です。この中で一番時間がかかるのはBちゃん。もしBちゃんを一番にすると、残りのAちゃん・Cちゃんの番がくるまで、どれくらいかかるかわからないですよね。

次に、AちゃんとCちゃんどちらを一番初めに持ってくるかですが・・・
Aちゃんは1回15mlと量が少なく、現在は就寝中。そして、9時のミルクの時に大泣きしていた情報があります。ミルク量が15mlという事は3人の中で空腹を感じやすい状況です。
もし今回Aちゃんを起こして一番最初にミルクをあげてしまうと、Aちゃんは次のミルクまで空腹に耐えられない事が予測されます。


2.経管か経口かで決める
赤ちゃんの栄養はこのように進めていきます。
そのため、状態が安定しているのは経管栄養≦経口栄養となります。
経管栄養の赤ちゃんは、経口摂取の赤ちゃんよりも消化吸収が上手くできない事もあるので、ミルクはきっちり3時間おきに投与するのが理想です。
Aちゃんは9時のミルクを8時半につないでいるので、12時のミルクも消化状態を見て11時半頃につなげたらベストです。
経口摂取のBちゃんとCちゃんは、Bちゃんの方がスムーズにミルクを飲めるので、B→A→Cの順でミルクをあげると丁度良いと考えます。

授乳をするかどうかで決める
これは面会時間とミルク時間が被る時の優先順位の付け方です。
授乳予定がある場合、沢山母乳を吸ってもらうため、母親面会まで赤ちゃんには空腹&起きている状態でいてもらう必要があります。
そして、授乳予定がない場合も母親が面会に来る場合は、育児手技獲得を目的として母親にビン哺乳をやってもらいます。
そのため、C→B→Aの順番でミルクをあげるのが理想です。
【Cちゃんのミルクは看護師が実施し、Bちゃんは母親が面会に来たら看護師の目が届くところで積極的にビン哺乳をやってもらう。Aちゃんの母親が面会に来たら、授乳指導をする。】この流れでやります。

その場合は「Bちゃんの事は一時的に他のスタッフに見てもらう」又は「Bちゃんのミルクが終わり次第、Aちゃんの授乳に入る」のもアリです。

2.起きているか寝ているかで決める
NICUでは起きている赤ちゃんからケアを行うのが基本です。その理由がこちらです。
赤ちゃんの睡眠は、身体・脳・心を成長に繋がるので「睡眠の妨げ=成長の妨げ」になります。そのため、なるべく起きている赤ちゃんから順番にケアをしていきましょう。

面会があるかどうかで決める
ご両親の面会があるかどうかで、優先順位をつけるのも重要です。もしご両親の面会予定がある場合は、面会が来るまでケアをするのを待ちます。
面会予定がない赤ちゃんからケアを実施し、ご両親が来る赤ちゃんは面会まで待ちます。
もしご両親の面会時間があまりに遅い場合、その時々の判断で看護師側でミルクをあげてしまう事もあります。スタッフ間で相談して実施していきましょう。
さいごに
今回は、日勤・夜勤のスケジュールと優先順位についてお話しました。
その日によって忙しさも違いますし、受け持ちの重症度も違うので慣れるまで大変かと思いますが、「赤ちゃんにとってどの流れが最良か」を考える事だけは忘れないでくださいね。
迷った時は一人で悩まず、周りのスタッフを頼って大丈夫。赤ちゃん・ご両親・自分にとって良い1日になるように、工夫して過ごしてみて下さい。